秋田県でも数少ない、趣きある淡麗辛口酒
刈穂酒造を代表する酒に、「刈穂 吟醸酒 六舟」があります。刈穂酒造では、今もなお、搾る工程を機械化せず、昔ながらの「槽(ふね)」を使った手作業の搾りを行っています。六舟とは、刈穂酒造が搾りに使う6台の「槽(ふね)」からその名がつけられたそうです。
槽しぼりは、とにかく手間がかかります。もろみ袋を「槽(ふね)」に敷き詰め、まずは自重でゆっくりと搾られます。最初のにごりを含む「荒ばしり」、お酒が澄んできたら「中取り」、お酒が出てこなくなったら、上からおもりで圧力をかけ、「責め」をとります。
機械絞りとは違い、最後まで搾れないため、残った粕はまだ搾れるだけの酒を含んだ練粕の状態で、とてももったいない!と感じてしまうのですが、一気に圧力をかけて搾り切ってしまわないことで、味わった時に最後に感じる嫌な味をださず、すっきりとした酒が出来上がるわけです。
刈穂酒造で、今もなおこの製法にこだわるのは、刈穂の特徴である、「淡麗辛口」を引き出すために「手間」を惜しまない「こだわり」なのだと思います。
淡麗辛口を生み出す「仕込み水」
さて、刈穂の端麗辛口を生み出すのは、仕込み水にも秘密があります。秋田県の酒蔵で使用される仕込み水は、多くがミネラル分がほとんど含まれない極軟水。これに対し、刈穂酒造では中硬水が使われています。
中硬水に含まれるミネラル分が、酵母を活発化させ、力強い発酵により、ふくよかな味わいが生まれると言われ、酒造りに最適な水質だと古くから、中硬水が重宝されていました。
刈穂のの仕込み水は、雄物川(おものがわ)の伏流水。刈穂酒造が位置する横手盆地は東北屈指の豪雪地区で、そこを縦横無尽に流れるのが雄物川。雪解け水が、雄物川へ、さらには地中へとしみこみ、非常に水質のよい伏流水が豊富にあります。
刈穂酒造が位置する大仙市は、伏流水ががなれる地質から、その水質は中硬水です。秋田県下でも、中硬水の伏流水が汲みあげられるのは、この地のみという非常に珍し環境です。そして、この中硬水こそ、刈穂の淡麗辛口でありながら、芳醇な旨みを生み出す、カギになっているのです!
-味わいの特徴-
「刈穂 大吟醸」は、「山田錦」と地元の酒米「美山錦」を磨き、独特の硬水で醸した淡麗で、きめ細かな旨みをのせた大吟醸酒です。
香りよく、さわやかに飲めるコストパフォーマンスの高い大吟醸です。淡麗辛口の風味で、後味もスッキリとしたキレのよさがあります。「山田錦」の奥行きある味わいと「美山錦」の旨みと丸みのある味わいが特徴です。
食前、食中にもおいしく飲んでいただける、料理ともよく合う一品です。常温、または冷してお召し上がりください。